開館時間:午前9時30分~午後5時 入場料:一般200円 小・中学生50円
7月25日(火)~27日(金)までが展示設営期間。この間休館。 このうち、7月26日(水)を、展示作業一般公開日とする。 内容 与えられた「街のイメージ」から脱して、来館者自身が作っていく〈私の〉「小樽論」。 方法 ●背景について .小樽の街の風景写真で、壁面を床から天井まで埋め尽くす。 写真作成の方法 1.小樽全図に等間隔で縦横の線を引き、小樽の市街部を1000個のパーツに分割する。 2.1箇所につき1枚の写真を撮影する。デジタルカメラを使用。ここで重要なことは、写真撮影に撮影者の意識を極力反映させないこと。できるだけ、機械的に撮影してもらう。分担作業。 3.A3判用紙に写真をプリント。 これらの写真に関して、来館者の感想、意見、文章を集める。その方法。 1000枚の写真のどれかには、相当高い確率で、自分の家、あるいはかつて住んだ場所、または、他の理由によって、特別の感情をもつ場所が写っているはずである。 そこで希望者に、その写真を進呈する(パソコンのプリンタで刷り出すだけなので簡単)という条件で、いくつかの質問に答えていただく。なぜその写真がほしいのか。その場所は、あなたにとって何であるのか、等々。こうして展覧会が終了するころには、数百に及ぶ住人、あるいは旅人自身による「小樽の街角」についての文章が集まるだろう。会場に置かれた5冊の巨大な「白い頁の本」に、それをつぎつぎに貼り込んでいく。 すなわち、この展覧会「小樽論1」は、展覧会が開始すると同時に進行していき、展覧会が終わるころに、来館者(参加者)自身の手によって完成されるものである。 ●展示について この展覧会は背景が主で展示は従というもの。この圧倒的な背景のなかに「普段の」常設展示を設営する。展示方法もオーソドックスなものである。ここで展示されるのは、常設展示のなかでももっとも関心の高い数人の作家。(+恣意的に加えた数人) 石川啄木、小林多喜二、小熊秀雄、伊藤整、並木凡平(口語歌人)、八橋栄星(アナキスト川柳)、石原慎太郎、永山則夫、等。小林多喜二については、油彩のデスマスク、多喜二本人の描いた水彩画など新収蔵の展示も含まれる。 この展示は、〈仮設〉の〈常設展示〉という複雑な印象を与えるものとなる。 意図 私たちが通りすがりの観光客であるにせよ、そこに長く住む住人であるにせよ、私たちが抱いている「街」のイメージは、しばしば、「他」から与えられた、あるいは押しつけられたものである。そのイメージは、ときには政治、経済上の思惑によって作り上げられたものであった。幾人もの芸術家(詩人、小説家、画家)らが描いてきた「街」のイメージも、少なからずそれを補強する役割を担ってきた。街の住人が、あるいは旅人がそのイメージの束縛から自らを解き放つのは決して容易ではないのである。しかしそれができぬかぎり、「街論」は、どこまでも狭く貧しく、不毛であろう。 今回の展覧会では二つの「仕掛け」を施す。ひとつは、「標準的視線」で等間隔、機械的、没感情的に連撮した計1000枚におよぶ、文学館の壁面を埋め尽くした写真。これによって、私たちが、本来的な、と錯覚していた「街のイメージ」は、ほぼ確実に覆される。 もうひとつは「写真とひきかえに」綴られていく小樽のあらゆる街角についてのコトバ。それを発していくのは文字どおりの「不特定多数」である。この「不特定多数」の「参加者」は、この手続きによって、「出来合」ではない「個々の」街のイメージを回復していく。これが新しい「街論」の始まりであり、すなわち「小樽論・1」である。 問い合わせ先: 市立小樽文学館 〒047-0031 小樽市色内1-9-5 担当学芸員:玉川 薫 tel.fax.0134-32-2388