小樽文学館

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関東大震災後の記録と文学

文学と天災地変ポスター

本展は全国文学館協議会共同展示、「文学と天災地変」の一環として行うものです。

 当館ではこの共同展示に参画するにあたり、かつて亀井秀雄館長が編集を担当した『編年体大正文学全集第十三巻大正十三年』(2003年1月ゆまに書房)に収録された作品のタイトルを紹介し、一部の作品の初出誌のコピーを解説を添えて展示することとなりました。

 また壁面には当時刊行された種々のグラフ誌を展示しました。

 

 「大正十三年に発表された作品は二〇〇篇を越える。(中略)それらを一巻に収めるには何らかの選択基準が必要となる。私はその基準を「震災」に置いてみた。(中略)あえて震災に焦点を合わせてみた理由は二つある。(中略)その一つは、大正十三年に至っても震災はまだ生々しい現実であったが、一般の歴史記述にはそのイメージがほとんど見られないことである。(中略)もう一つの理由は、以上のこととは矛盾するようだが、震災後四ヶ月で年が改まり、九月にはメモリアルな行事があり、いわば時間的な節目の意義をもって、人々が震災を回想し始めたことである」(亀井秀雄)

 

 大正12年9月1日に神奈川県と東京を中心に激甚な被害をもたらした震災と、平成23年3月11日に東北地方沿岸部を中心に大きな被害を及ぼした東日本大震災を安易に重ね合わせることはできませんが、今から90年前、首都を襲った未曾有の大災害を「文学」がどのような角度と深度で受け止めたか、振り返る意味は小さくありません。